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SST研究所は、約20年前マンション管理士第1回の試験の年に誕生しました。鉄筋調査についても、最初はマンションをはじめとする建物調査が大半を占めていましたが、最近は建物以外の擁壁・橋梁・ブロック塀その他のコンクリート構造物が増えています。
鉄筋探査業務における一番の財産は、10-15年前に関西でおこなった鉄筋を見るための探査です。通常鉄筋を避けるための探査ですが、建築士事務所からの依頼は、鉄筋のかぶりを実測したいということでした。よって、私たちが鉄筋位置をチョークで示し、その場所に穴を開け鉄筋の状況、実際のかぶりを見ています。兵庫、大阪、京都、奈良、和歌山のマンションで1棟につき5-10箇所おこないましたが、その中で抜粋した100箇所については、鉄筋位置のずれやかぶり誤差についての比較表を作成しました。鉄筋位置については、大半がコア抜きした穴の中央にあり、非常に精度は高いと思われました。但し一部10mm~20mm程度の誤差(4cmコアの端に露出鉄筋)や、2例は鉄筋が見えなかった箇所もありました。
鉄筋かぶりについては、コンクリートの含水率の影響でどうしても誤差は発生しますが、おおよ10%の誤差の間の数値でした。

 

以下は最近の研修事例です。
①梁探査上端主筋
梁の探査は主に梁側でおこなうことが多く、梁底の依頼もあります。
梁上での探査は、上の階の床からとなり困難な場合もありますが、最近は可能な場合おこなっています。

下の事例File004(上の階床からの梁上探査)で、山型波形頂点のNo1.2は、梁上端主筋と思われます。
梁の左右にある山型波形はスラブの配筋です。No3は床の厚みと思われます。
縦横の数値0-160(140)0-50は、縦方向が探査面からの深さ(かぶり)横方向は探査起点からの距離です。

②擁壁鉄筋探査
L型擁壁の場合、底版主筋・配力筋は掘っていただいてからの探査となります。コンクリート面の凹凸や水たまりなど困難な探査となる場合もあります。
立上がりの壁面につてはも、片面は掘っていただいて両面からの探査の場合もありますが、下の事例は片面探査の場合です。
この探査では、40cm程度の深さ(かぶり)の鉄筋が確認できました。
横筋探査ですので、壁厚が上へ行くほど減少し、鉄筋までのかぶりは少なくなっていきます。

③壁面40cm厚の場合
No1.2.3は探査面の鉄筋、4.5.6は向こう側の鉄筋(W筋)、7は実測40cmの壁厚となります。
壁厚機械値は、比誘電率7で41.4cmでした。
下の2つの画像緑の波形は、山の広がり具合を表示しています。かぶりが深くなるほど山は広くなります。

④橋梁探査
床版画像です。No1の白い横ラインは、アスファルト舗装の厚みです。


橋脚半円部分の縦筋探査です。

⑤木造住宅基礎鉄筋探査
立上がりコンクリート基礎の縦筋・横筋を調べました。横筋については、今回のような基礎の立上がりの高さが少ない場合、探査機の上下移動距離が少なく(今回は7-8cm)、探査が難しい場合もありますが、中央付近に1本確認できました。

立上がり基礎縦筋

門扉より3段程度上がった玄関タイル貼り床面ベタ基礎。タイルより25cm程度の深さに鉄筋が確認されます。

上画像緑の山型波形を書き込む前です。3箇所の山型波形の頂上付近半円の形状がないように思えますが、ずっと見ていると徐々に見えてきます。上画像は3本ですが、左右に1本づつ合計5本の鉄筋があると思われます。

⑥鉄筋のかぶり
20cm壁W筋の奥の鉄筋かぶり(反対側の壁面からのかぶり)が探査可能であるかの研修です。
今回の研修は、両面から探査できる下写真の壁面での精度確認となります。
 

下の分析画像ストラクチャースキャンーEZとXTの画像です。
1~4は手前の鉄筋5~8は奥の鉄筋位置、9は壁の厚みです。
奥の鉄筋のかぶり=壁厚-(奥の鉄筋の探査面からのかぶり+鉄筋径)

⑦スラブ探査
マンション廊下からの床スラブ主筋画像です。
鉄筋間隔が150mmと狭いので、下端主筋は床からの探査では難しくなっていますが、こちらもよく見ると山型波形が見えてきます。No14がスラブ厚ですので、No13下端主筋の天井からのかぶりは少ないと思われます。(械値計算上は24mm)