調査依頼から現場終了までの流れについて
(1)赤外線サーモグラフィ調査決定
①10日間・週間天気予報で晴れの日を確認、気温の最低温度と最高温度の差が大きい日を、調査予定日として何日か選びます。
3日前に再度天気予報を確認しますが、朝6時からの6時間及び9時からの3時間気温上昇がSST基準を超えているかの確認も重要視しています。最低と最高の気温差(日較差)は、昼とその日の夜の場合があり日較差=気温上昇とは限りません。
※納品報告書気象条件記載ページに、日較差と6(3)時間気温上昇を記入します。
②見積り段階で現場を見ている場合は、撮影した写真とインターネット上の地図で撮影位置を選定します。(距離15-30m程度の場所)
現場を見ていない場合、頂いた写真・配置図・立面図及びインターネットのストリートビュー・3D画像等で確認します。
※2017年8月調査物件の場合(関西地区の学校)
中庭を挟んだ別の棟屋上からの赤外線撮影 グーグルマップ航空写真にて計測 8m~9m 広角タイプ赤外線サーモグラフィTVS200撮影決定
中庭からのみ撮影可能な東面赤外線撮影 グーグルマップ航空写真にて計測 20m以上の距離確認 主要機種赤外線サーモグラフィH2630撮影決定
立入り不能な部分を挟んだ道路からの北面赤外線撮影 グーグルマップ地図にて計測 裏側道路から約30mの距離確認 H2630撮影決定
表道路面からの東・南・西面赤外線撮影 グーグルマップ地図にて計測 障害物なく15-30mの距離での撮影確認 H2630撮影決定
2022年11月現在 以下の機種より2~4台使用しています。
赤外線サーモグラフィH2630 左右撮影角度22度(高画素機種)
R450 左右撮影角度25度(主要撮影機種 望遠レンズあり)
TVS200 左右撮影角度30度(広角タイプ 望遠レンズあり)
F-50 左右撮影角度70度(超広角タイプカメラヘッド独立 詳細はコラム㉙)
③地図の準備
日の出・日の入りの時間、1時間ごとの太陽方位及び高度を記入した現地拡大地図を準備します。
SST研究所では、通常の準備として温度計・風速計・距離計・打診棒・三脚・デジカメ等も常時準備していますが、一部使用しない場合もあります。但し、下の地図作製は絶対条件です。太陽の方位と高度は非常に重要と考えていますが、特に昼は太陽の進行が速く、1時間に30度~40度動きます。早すぎると思い食事したら遅くなり、後日再調査という経験もあります。
(2)調査前日
①天気予報に変化はないか確認、天気が良ければ調査を決定します。夜間調査については、当日の気温下降がSST研究所撮影基準値をクリアしていれば仮決定となります。
この天気晴れ及び気温変化の場合、昼夜ともに調査です。
風速は微妙です。現地で要確認となります。
左は8時26度12時31度であり、4時間温度上昇5度となります。予報では12時から13時
に1度温度が下がりますので、12時までに可能なら2回日影面撮影を行います。
昼夜ともに予報通りとは限りませんが、夜間の場合17時~18時2度下がりますので
1度下がる間の18時~19時撮影予定となります。(8月30日の日没18時48分)
(3)当日早朝
担当者は起床と同時又は就寝中の早朝5時から6時にスマートフォンで天気や気温の変化を確認します。天気に変化があり、良くない状況の場合中止もあります。(打診調査等で訪問の場合あり。その場合曇っていても、昼前後の気温上昇時の日影面撮影は行います。北面他日陰面は、天候曇りでも撮影に適していたことが、過去何度もありました。)
(4)現地調査 2015年8月
①東面
開始は夜明けから2時間後7時30分になりますが、まだ若干早いと思われます。7時45分~9時30分の間に撮影します。5月~7月は7時30分開始、冬は8時30分~9時開始の場合もあります。
②南面
太陽が真正面にある12時に撮影しますが、高度65度はやや高いと考えますので、10時30分の高度60度未満の時点から2~3度撮影します。5~7月は高度75度以上となりますが、70度未満の早い時間帯にも撮影します。
③北面
気温の上昇具合は日によって違いますが、過去の経験に基づく時間帯に撮影します。上の事例8月の場合、1回目11時前後2回目12時前後(3回目13時前後)または、10時30分・11時30分・12時30分の撮影です。
④西面
8月の場合14時~16時(16時30分)の間に2~3回撮影。5~7月は最大17時まで撮影、冬は16時(15時30分)までとなります。
※西面は、まだ日射がない11時~12時ごろに一度撮影する場合があります。
理由は、北面等日影面の撮影時条件が良かったかの検証の為です。
※西面の撮影に適する時間帯は、季節・当日条件・場所・建物角度などで違いますが
判断は難しく、2018年4月現在14時~17時の間に3~4回撮影する場合があります。
下の画像は、判断が難しくなったきっかけの画像です。
⑤夜間撮影
2017年5月より夜間撮影は日没時撮影に変更となります。
理由は
1.過去の研修結果をまとめましたが、日没時と夜間と分析に大きな差がないこと(日没前が良い場合あり)
2.まだ明るい日没時はデジカメの写真を画像横に付けることができる。(夜間撮影はデジカメ写真なしでした。)
3.暗い時間帯より不審者に思われる可能性が少ない。
4.時間短縮になり、コスト削減=低料金になる場合がある。
西面に日没直前まで日射がる場合は、ラストの西面撮影が遅くなる場合があります。
北面及び日影面について
平成28年6月10日
一日中快晴でしたが、気温上昇は朝9時から12時まで1.1度の上昇でした。過去にも数回検証していますが、日が射す面については何の問題もないと考えています。但し、北面等日影面分析にはあまりにも少ない気温上昇であり、再調査となりました。6月14日は朝9時から12時までに1.8度上昇しましたが、SST研究所基準に達していませんので、6月18日再々調査となりました。(この日は十分な気温上昇です)
陽が射す面撮影時の条件が良かったかは問題なくわかりますが、北面等日影面は気温上昇のみでの判断は難しい場合があります。
その他の手段として、西面をまだ日陰である昼前気温上昇時に撮影し、日射を受けての画像と比較するなどの方法も考えています。